別府大学短期大学部紀要 第44号
妻から第一子誕生以降、誤飲の危険性のついてくどいほどに教育を受けてきました。
もちろん患者さんのことは一切、自宅では語られませんが、
妻には「日常」として誤飲事故が身近にあると想像されます。
そんなことまで!?というところまで気を付けてきました。
ということで、一般のパパより若干、誤飲/窒息の知識に関しては僕はエリートかもしれません。
おかげさまで兄妹ともに今も元気に過ごしております。
今回、取り上げた論文では特に「リンゴ」をピックアップして取り上げています。
そもそも、保育園等において離乳食や幼児食を提供する際は、食品による窒息事故を防止するために、
内閣府の「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライ
ン」に従って、誤嚥・窒息につながりやすい食材は管理、調理されています。
では、具体的なガイドラインとは??
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、食形態の目安として離乳初期(生後5,6ヶ月)はなめらかにすりつぶした状態、離乳中期(生後7,8ヶ月)は舌でつぶせる固さ、離乳後期(生後9~11ヶ月)は歯ぐきでつぶせる固さと記されている。
にもかかわらず、2023年に2施設の保育園において乳児がりんごを摂取し
た後に救急搬送される事故が発生しています。
調査を進める中で生後6ヶ月の乳児に薄く切ったりんごをすりおろしたものが提
供され、生後8ヶ月の乳児に小さく刻んだ生のりんごが提供されていたことから、いずれも同
ガイドラインに沿った提供方法ではなかったことが明らかとなりました。
いづれも知識の不足により痛ましい事故が起きってしまったのです。
今回研究対象となったりんごは、「早生ふじ(青森県産)」、「ジョナゴールド(青森県産)」、「シナノスイート(長野県産)」、「トキ(青森県産)」の4品種
破断強度測定、テクスチャー測定、すりおろしりんご(加熱)の物性評価の中で以下のように結論づけています。
離乳初期にすりおろしたりんごを加熱して提供する場合、ふじ、ジョナゴールド、シナ
ノスイートでは市販のベビーフード(離乳初期)の物性値に近い値となったが、硬度の高
いトキはすりおろした果肉が不均質でばらつきがあり、飲み込みにくい形態となることが
分かった。次に、煮りんごを離乳食の段階に合わせて調理する場合、離乳初期ではブレン
ダーですりつぶすことにより、すべての品種でやわらかく飲み込みやすい形態になること
が分かった。離乳中期では2~3㎜の粗刻みにすることで、ジョナゴールドは最もやわら
かくまとまりやすい形態となり、トキのように硬度の高いりんごは、加熱時間の延長やと
ろみをつけて提供することが必要である。
食事中以外でも、誤飲/窒息の可能性は潜んでいます。
リビングの床、その他お子様の手の届く範囲内で誤飲の可能性があるものは徹底的に
排除しましょう。想像もつかないものを口に入れてしまいます。
また、幼児期にしっかりと噛む習慣をつけることもとっても大事なことと考えます。
参考に若干古いデータですが…。
【今日の学び】
コメント